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街全体のエネルギーマネジメントでできること


【ゲスト講演③】




中村 慎

株式会社 竹中工務店 スマートコミュニティ本部長



人を中心としたスマートコミュニティを目指す


竹中工務店は「心地いい未来-ともにつくる、心と地球にちょうどいい未来。」を掲げ、人を中心としたまちづくりを通してサスティナブルな社会の実現を目指す。活力魅力、環境共生、安心安全という価値観がスクラムを組んでまちづくりを推進していく。弊社では国の方針を鑑み、エネルギー、スマートといったキーワードによる取組みを行っている。


 


スマートなまちづくりに関わる様々な国の施策


国交省はスマートシティを推進している。スマートシティとは都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメントが行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区のことだ。


デジタル庁が掲げるデジタルの活用により目指す社会像は、6つの価値観でその方向性が示されている。その価値観とはデジタル化による成長戦略、医療・教育・防災・子ども等の準公共分野のデジタル化、デジタル化による地域の活性化、誰一人取り残されないデジタル社会、デジタル人材の育成・確保、自由なデータ流通が可能な社会を作る国際戦略である。



さらにデジタル庁では、スマートシティ・インスティテュートが提言した地域幸福度(Well-Being)指標を幸福感の指標として活用している。主観と客観に分け、生活環境、地域の人間関係、自分らしい生き方という3つを、さらに細かく分類した24の因子の中で整理評価している。それらを支える先端的なサービスは、行政サービス、物流、交通、観光、防災、社会福祉、教育、金融、環境保全の9つだ。


環境省は、脱炭素先行地域というまちづくりを推進している。民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、地域特性に応じて実現する地域で「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとして定義づけている。2024年4月までに74の提案が選定されているが、地域脱炭素ロードマップによると、少なくとも100箇所を選定して地域課題を同時に解決することが明言されている。


 

次世代エネルギーマネジメントの追求


弊社では、マネジメントの高度化によって、全体最適化を図ることが大事だと考える。

そこで街全体の最適化を目指す次世代エネルギーマネジメントの追求という目標を設定した。


コンパクトシティの中に多様なインフラが引き込まれ、水素のような新しいデバイスも効率的に利用され、電気や排熱の融通といったエネルギーネットワークが形成され、街全体で最適化されるという将来像を描いている。



東京・江東区の地で電力デマンド統合制御を実証してきた。ポイントは、定置型の蓄電池、電気自動車の蓄電池の充放電マネジメントなど複数の電源リソースを統合制御している点だ。巴商会様の運営する水素ステーションを誘致して、合わせて建物内で使用する水素製造・貯蔵・利用の実験施設と並走させながら、将来のまちづくり像を見ていただける施設づくりをしている。最近では水素ステーションと建物を連携させるシステムも試行した。

 


「脱炭素モデルタウン」を目指した技術実証の取組み


1つ目は、エネルギーインフラを補完し、街全体の電力デマンドを最適化するVirtual Power Plant(VPP)の実証だ。独自開発したクラウド上のエネルギーマネジメントシステム「I.SEM(アイセム)」で電力会社からの節電要請を受信して、3つの建物に設置された蓄電池、発電機、EV充放電システムなどの分散電源を自動制御する。実証実験では、要求された節電量を3棟とも過不足なく達成した。


2つ目は、V2B(Vehicle-to-Building)の災害時活用の実証だ。敷地内の建物を災害時の避難所施設と見立て、弊社開発のV2Xシステムを介して、乗用車、バスのエンジンから発電した電気を送り込み、太陽光の発電システムと連携させながら72時間の建物の運用に成功した。


3つ目は、水素社会に向けた対応の実証だ。建物の屋上にある太陽光発電の余剰電力を使って水素を作り、それを貯蔵して必要な時に使う。一般的なシステムとして普及するには時間がかかるが、エネルギーセキュリティと脱炭素に貢献する試みだ。

また東関東支店では2016年に、ネット・ゼロエネルギービル改修を行った。従業員にウェアラブルセンサーつけてもらい、その活動量の評価を空調制御に活用している。

 

 

陸・海・空でモビリティを使ったまちづくりの検討


新たなモビリティや搬送デバイスの活用は、街の活性化に貢献する。そこで建設プロセスで活用・構築されるデバイスやデータ基盤を活用し、まちづくりの運営に利用できるように構想したのが夢洲建設MaaS構想だ。万博会場では可動空間サービス、物流ドローンによる全自動会場搬送、自動搬送車両による無人輸送の展開を検討している。



可動空間サービスの一例は、牽引式オフグリッド・モバイルハウスと呼ばれる。衛星インターネットによる自立通信、再エネ活用による自立電源、万博工事敷地内での移動は、市販の駆動装置を装備しリモコンによる自立移動という特徴を持つ。車内は6畳サイズで、オフィス機能であれば2日間の電力は供給されるために、事務所の離れのような使い方を考えている。

国交省3D都市モデル「PLATEAU」を活用し、資材運搬を担うドローンやAGVの自律走行・自律飛行のプラットフォーム活用や、都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」による都市の水辺空間の創出にも取り組んでいる。



さらにロボット活用による管理業務省人化、住民サービス向上を目指す社会実験も行った。実験を通じて、新たなモビリティやサービスデバイスの充電マネジメントは街全体で行う重要性を感じているところだ。

 

建設技術をまちに繋げる、まちづくりのプラットフォームについても、今後は挑戦していきたい。

 

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