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0歳から100歳まで多世代が支え合う街へ


【ゲスト講演①】



木村 祐介

株式会社 学研ココファン・ナーシング 代表取締役社長

株式会社 学研ココファン 取締役事業本部長



教育・医療福祉のリーディングカンパニー


学研グループ(以下、学研G)は1946年に創業し、教育コンテンツの『学習』と『科学』が看板商品であった。減退期の90年代に福祉事業をスタートさせ、直近20年は介護サービスや高齢者住宅を手がける。

1997年に入社当時は、少子化の影響を受けて数年経っており、販売部数に苦戦をしている状況であった。しかし今では、教育・医療福祉の分野においてコンテンツ・サービス企業へと変貌を遂げている。


 


少子高齢化の実情


未就学児童と65歳以上の高齢者の人数が逆転したのは、1980年代であった。今は、認知症の高齢者と未就学児童の数が比較される時代である。前期高齢者と後期高齢者の数は、2020年の時点で逆転しており、高齢者の半分以上は後期高齢者だ。

高齢者の居住形態を見ると、一人暮らしが3割、二人暮らしが3割、残りは同居している人である。この傾向は継続し、高齢者が1人あるいは2人で暮らす傾向が強まっていくために、学研Gは高齢者住宅を作っているのだ。



 

学研Gの高齢者住宅事業


学研Gは、団塊の世代が90歳になる2040年を需要のピークと捉え、高齢者住宅事業を展開するほか、多死社会を見据えたライフエンディング事業も手がける。サ高住・グループホームを中心とした住宅事業は、約570拠点の国内運営棟数、約2万名の定員数を誇る。高齢者住宅事業は36の都道府県で展開し、入居者の平均年齢は87歳、最高齢は112歳、90代は13%を占める。

従来の介護施設と違って、介護の認定を受けていない80代・90代も多く集住しているのが特徴だ。自立できる人から、医療依存度の高い要介護4及び5の方までを対象とする。介護の不要な人のほうが、集住するニーズが実は高い。この点が、今後のポイントではないか。


 


学研版地域包括ケアシステム


厚労省は、「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制」を地域包括ケアシステムと定義した。

学研Gは、0歳から100歳を超えてもすべての世帯の人が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる社会、仕組みづくりをビジネスでやろうと考えた。都市部では地方から親御さんを呼び寄せ、同居はしないが近くに住んでもらう事例が多い。3割くらいが住み替えだ。

そこで学研版地域包括ケアシステムによるまちづくりを、官民連携で進めている。団地や老朽化した公共施設の建て替え時に、自治体が保有する土地などを活用して高齢者、子育て世代、子どもが集い交流する街づくり拠点の開発を進め、20年間で10拠点ほど展開中だ。

ココファン日吉はUR横浜から土地を賃借し、高齢者住宅、クリニック、薬局、介護事業、保育園、幼稚園、学習塾の複合型事業で、老朽化した900世帯の団地を再生させたケースだ。ココファン横浜鶴見は、旧・鶴見会館の建て替えに伴い、公共施設の機能を含めて整備した多世代・地域交流型住宅である。ココファン川崎高津は、東急電鉄溝の口駅からのアクセスはバスで20分、バス停から徒歩5分という賃貸住宅あるい分譲マンションとしては難しい立地であった。そこでサービス付き高齢者向け住宅を学研Gが手がけ、地域交流スペースとサブリースでグループホーム、児童発達支援、学習塾を併設した。

 

 

地域包括ケアのまちづくり成功ポイント


学研Gは、「高齢者住まい法」に基づく「サ高住」にこだわっている。

サ高住は、お元気な方からサービスが必要な人まで幅広く居住が可能である点がポイントだ。高齢化の問題の解決策として、品質の高いサ高住は非常に効果が高い。さらに子育て支援の機能も必要だ。地域自体の価値向上に寄与することから、公的不動産の活用は今後も期待される。一方で、PFIを用いた公的不動産の有効活用には、自治体の不動産証券化手法へのご理解が必須だ。


民間企業が高齢化住宅を手がける場合は、投下した資金を回収する必要がある。安定運営の状況に持っていったあとに、資金を回収して次の拠点整備に再投資するスキームだ。例えば、民間事業者が定期借地権の設定を受けた公有地に施設を整備後、定期借地権と施設の所有権を投資法人(REIT)に譲渡するケースなどが考えられる。

 

今後も学研Gは、少子高齢化の中で高齢者住まいを核としながら街づくりにチャレンジし、教育や子育て支援の機能を含めてまちの付加価値が高まる取り組みをしていきたい。


 

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